【茨城県生活協同組合連合会】「みまもりあいプロジェクト」事務局・世話人対談

見守り合えるまちづくりに取り組む「いばらき みまもりあいプロジェクト」。
立ち上げの背景や活動、今後の展望について、
運営事務局の県生協連と世話人の3人からお話をうかがいました。

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困っている人を地域で助け合う

 高齢者人口が85万人を超え、県人口に占める高齢者の割合が3割となっている茨城県。認知症またはその疑いがある方の徘徊による行方不明も多くなっており、高齢者とその家族が安心して暮らせる地域社会づくりが求められています。そんな中、茨城県生活協同組合連合会は「いばらき みまもりあいプロジェクト」を立ち上げ、見守りアプリの普及に取り組んでいます。2022年には「いばらきみまもりあい推進ネットワーク」を結成。各団体の専門性を活かして、活動の幅を広げています。

―「みまもりあいプロジェクト」の立ち上げについて教えてください。

井坂 高齢化社会の問題が進行する中、県生協連では以前から高齢化社会についての勉強会を会員と開いてきました。そこで挙がってきたのが、認知症の問題です。行政主体の取り組みに「SOSネットワーク」など様々なものがありますが、いち早く行方不明者を保護するためには、行政の活動・事業に、プラス地域住民が普段から無理なく関わり支援できる仕組みが必要と考えました。誰かの「助けて」に、地域から協力者を募って、みんなで助け合える仕組みを作ろうと、2017年に当プロジェクトが立ち上がりました。

―「いばらきみまもりあい推進ネットワーク」はどのように組織されていますか。

井坂 地域の見守り合いをするときに、協同組合だけの力では限界があります。いろんな団体に関わってもらい、各団体のスキルや組織力を活かしながら共に学び連携していこうと、推進ネットワークを作りました。現在は茨城保健生協やJA茨城県中央会などの協同組合、社協、NPO法人など11団体に参加してもらい、ネットワーク会議や情報交換、イベント連携などを行っています。

―ネットワーク世話人のお二人が所属している茨城保健生協、JA茨城県中央会について、どのように連携しているか教えてください。

山川 茨城保健生協は、医療と介護事業を行っています。創立当初から無差別平等(だれでも・どこでも・いつでも)の医療・介護と福祉の実現に取り組んできました。「認知症になりたくない」と思う人も多い中、認知症に対する理解を深めないと今ある偏見は払拭できないと感じます。そこも私たち専門家が正しい啓発をしていくことが必要です。認知症の方やそのご家族が安心して暮らせる地域づくりの一助になればと活動しています。

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鯉沼 当プロジェクトには主にJAの組織力を活かした広報活動やイベント集客などの面で連携しています。JAでも認知症サポーター養成講座を行っており、私も講師を務めています。講座の中で、見守りアプリの紹介や「みまもりサポーター」登録の呼びかけをして地域の守り手を増やしていきたいです。

―プロジェクトの活動について教えてください。

井坂 活動の柱は「みまもりあいアプリ」の普及です。アプリは、行方不明者の家族や関係者が捜索依頼を出すと、アプリを通じてその情報が届き、地域の人が捜索に協力できるというものです。アプリでは本人の写真や特徴が手元に届くので、捜索する側・依頼者の正確な情報共有に有効です。

 他には「つどい」の開催や「みまもりサポーター」の登録推進、11月には初めて、アプリを使った体験イベントも行い、参加者にその場でアプリをダウンロードしてもらって会場内にいる迷子役を探してもらいました。

社会の問題を自分ごととして考える

―「つどい」や見守りアプリの体験イベントを振り返っていかがでしたか。

山川 「つどい」は昨年に引き続き、講演会と認知症についての映画上映を行いました。参加者の多くが年配の方で、身近に認知症の方がいたり、関わっている方たちが問題意識を持って参加してくれています。一方で、若い人の参加がすごく少ないことはこれからの課題と感じています。
 アプリの体験イベントは実際に使ってみることが重要だと思いました。会場でいただくご意見も「実際の声かけの仕方がわからない」など具体的でした。

鯉沼 つどいは、高齢化社会で起こる問題を自分ごととして考える上で、「入り口」を作っていくという意味で大切です。学習の機会となる「つどい」と、実践の「イベント」で分けてやっていくのはいいと思います。挙がってきた意見を踏まえて、声かけでは今後、お手本となるマニュアルを示せるといいと感じました。

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―今後の展望について教えてください。

井坂 2023年8月時点でのアプリダウンロード数は27,910人で、捜索依頼累積数は918件。ダウンロードが進めば、多くの見守りの目が増えるので、まずは登録者数6万人が目標です。

 また、アプリの普及と併せて、サポーターも増やせるように、働きかけをしていきたいです。来年度以降、行政のイベントや商店会などとも連携して、体験型のイベントにも力を入れていきたいと思います。

山川 これからの地域社会を作っていくときにベースとなるのはやはり、人と人とのつながり・助け合いだと思います。「みまもりあいアプリ」をはじめ、色々な取り組みのそれぞれ良いところを重ねて大きな面を作っていくことで、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めたいです。

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